鏡を見ながら頬を斜め上に軽く引っ張ってみてください。鏡の中のあなたがいつもよりちょっと若い印象になりませんか?もしそうなら、それはお顔の皮膚が少したるんできた証拠です。
あまり話題にはなりませんでしたが、2000年公開のマドンナ主演の映画「2番目に幸せなこと」(The Next Best Thing)の中で、妙に印象的なシーンがありました。鏡の前のマドンナが、10年前の年齢と現在の年齢を交互に言いながら、頬を引っ張り上げていた場面。つまり、10年前と比べてお肌がたるんできたということを表していたのですね。
このように、年齢を重ねると、どうしてもお肌のたるみが気になってくるもの。
今回は、そんなお肌のたるみを改善する方法をご紹介します。
お肌はなぜたるむのでしょう?
ひとくちにたるみと言っても、その原因は様々。どんなことがたるみの原因になるのでしょうか?
加齢によるたるみ
たるみの最大の原因は、加齢。皮膚は、表面から順に表皮、真皮、皮下組織の3層からなり、その下に脂肪組織と筋肉があります。真皮を支えている線維成分であるコラーゲンとエラスチンが、年齢と共に減少して真皮を支えられなくなることで、お肌のハリや弾力がなくなり、たるみを引き起こします。
紫外線ダメージによるたるみ
コラーゲンとエラスチンは、紫外線を浴びることによってもダメージを受けます。紫外線を浴びすぎるとシワやたるみができやすくなり、なかなか元に戻らなくなります。屋外でのスポーツや仕事などで長年日焼けした状態にある人が、シワ深くなるのはこのためです。
乾燥によるたるみ
皮膚細胞内の水分が不足した状態が続くと、肌のバリア機能も低下し、肌のハリや弾力性が失われ、その結果たるみやシワの原因になります。
姿勢によるたるみ
姿勢の悪さも、お肌のたるみに大いに影響があります。特に猫背はたるみの大敵!
顔の筋肉は、首の後ろから背中に広がる筋肉、僧帽筋と繋がっていて、この僧帽筋が顔の皮膚と筋肉を引っ張り上げています。この僧帽筋が固くなって顎が前に突き出る状態(つまり猫背)になると、顔が体の上にのっていない状態となり、お顔の筋肉がリフトアップできず、たるみが起こります。
お肌のたるみを改善・予防するために
このようなお肌のたるみをできるだけ予防するためには、どうしたらよいのでしょうか?
また、すでにたるみが気になってきた方にも、たるみを改善する方法をご紹介します。
スキンケアでお肌のたるみを予防・改善
- 加齢によるコラーゲンの減少を補うために、コラーゲンを増やす効果があるレチノール配合の美容液を、おやすみ前のスキンケアにプラス。使い続けることで、翌朝、ピンとハリのある滑らかなお肌へ導きます。レチノールは紫外線に弱いため、夜に使用しましょう。
- ビタミンC誘導体L-アスコルビン酸にも、コラーゲンを増やす作用があります。こういった成分が配合された美容液を使うのも、たるみを防ぎ、お肌のハリをキープするには有効です。
- 紫外線ダメージによるたるみを防ぐには、紫外線吸収剤の入っていない日焼け止めクリームを塗りましょう。春夏の紫外線が多い季節だけではなく、秋冬も忘れずに。また、屋内にいる時も、窓ガラスを通して紫外線は1年中降り注いでいます。外出しない日も軽く日焼け止めを塗ることを心がけて。
- 乾燥によるたるみを防ぐには、毎日のお手入れでの保湿は基本中の基本!お肌の角質層のすみずみまで浸透するよう、分子が小さく、保湿成分がたっぷり配合された化粧水で十分な保湿をしましょう。
正しい姿勢でお肌のたるみを予防・改善
パソコンを使っての長時間のデスクワークや、スマホなどの日常的な使用で、首を前傾した姿勢をとっている人が増えてきています。そのような姿勢が、首から肩にかけての筋肉を緊張させ、首こり、肩こりを引き起こします。
筋肉が緊張してこわばると血流やリンパの流れが阻害され、肌細胞に必要な酸素や栄養が届かなくなり、その結果、お肌のハリが低下してたるみの原因に!ですから、意識的に筋肉の緊張をゆるめてあげることが大切です。
パソコン作業の際は、時々肩や首をゆっくり回したり、肩とは反対側の手のひらで、後ろから前へゆっくりさするのも効果があります。もちろん、時には席を立って歩くのも、血流の滞りを防止するにはいいことです。
また、移動中の車内では、スマホをいじることばかりに没頭しないで、時には背筋をのばして、窓の外の景色を眺めてみましょう。できるだけ遠くを見ることは、目の緊張をやわらげる効果もあります。
日常の様々な場面で、「姿勢を正す」ことを心がけましょう。ついつい楽な姿勢をとりがちですが、気づいたら背筋を伸ばすことを意識してみましょう。お肌のたるみだけではなく、体全体の筋肉を鍛えることにつながり、代謝もアップし一石二鳥です。
一般的に私たちは、だらっとした格好が楽な姿勢だと思いがちですが、実は正しい姿勢が体にとって最も楽な姿勢だということに気づくはずです。
お顔のエクササイズはやりすぎに注意
たるみを改善するためには、顔の筋肉を鍛えなくてはという趣旨で、顔のエクササイズ法を教える様々な本やDVDなどが出ていますね。これをお読みになっている方のなかにも、ローラー美顔器を使ったり、お顔のエクササイズなど、なんらかのマッサージをしている方も多いのではないでしょうか。
でも、マッサージのやり過ぎや方法を間違えると、お顔の薄い皮膚を伸ばしてしまい、シワやたるみにつながって逆効果になることもあるそう。やるならプロの手にまかせた方が無難です。
実は、筋肉を鍛えるというよりは、リラックスさせることが重要です。
もしマッサージを自分でするなら、お顔ではなく、首から肩へ、後頭部の髪の生え際から鎖骨へ、耳たぶを挟んで首へなど、手のひらでやさしくなでおろすように、どれも鎖骨のくぼみへリンパを流してあげる方法が、たるみやむくみの解消には効果的だそうです。
たるみに効く食材
お肌のたるみに効果的な食材には、次のようなものがあります。毎日の食事に積極的に取り入れましょう。
- 納豆…マグロなどに含まれるビタミンEと組み合わせれば、さらにお肌に効果的〔大豆イソフラボン〕
- ほうれん草、菜の花、ピーマン、レバー、にら〔ビタミンA〕
- 豚肉、玄米、そば〔ビタミンB1〕
- 卵、納豆、ししゃも、うなぎ、チーズ〔ビタミンB2〕
- レモン、グレープフルーツ、キウイ、イチゴ、カリフラワー、ダイコン〔ビタミンC〕
- 鶏肉、鮭、卵 〔たんぱく質〕
- 明日葉、タマネギ、赤ワイン、ブルーベリー、ブドウ、リンゴ、緑茶〔ポリフェノール〕
- ゆで卵の薄い膜(コラーゲンを増やす効果)
- キュウリ(むくみやたるみの解消)
サプリメントやコラーゲン入りドリンクなどを飲んでも、それがお肌に直接届くわけではありません。摂ってはいけないわけではありませんが、食事から摂ることをおすすめします。
「糖化」を避けて、老化を避ける
「糖化」って何?
最近、「糖化」という言葉をよく耳にするようになりました。「糖化」とは、体のたんぱく質と体内に入ってきた糖が結合して変性し、「AGE」という老化促進物質になることです。
食べ過ぎや、炭水化物、甘いものなどの糖質を取り過ぎる⇒体に余分な糖が増える⇒たんぱく質と糖が結合⇒AGEが生じる、という流れで糖化が起こります。
糖化するとどうなるの?
真皮を支えている線維成分であるコラーゲンとエラスチンは、タンパク質でできています。このタンパク線維がしっかり支えていることで、お肌のハリや柔らかさが保たれているのですが、ここにAGEが入り込んでくると、本来の弾力や柔軟性がなくなってくるのだとか。その結果、お肌がたるんでくるというわけです。
怖いですね…老化は生物である限り避けられないことですが、「老化促進」してしまう糖化は避けたいものです。それに、糖化はお肌のたるみだけではなく、糖尿病など他の深刻な病気や不調を引き起こす要因にもなるのです。
糖化しない食べ方とは?
- 糖質の摂り過ぎを避ける(ゴハン、パン、お菓子類、清涼飲料水、果物など)
食べ過ぎない - 食べ方を工夫する…食後の血糖値を急激に上げないようにする
- 懐石食べ(野菜→肉・魚→炭水化物の順で食べる)
- 緑の野菜をたくさん食べる
- 加工食品(スナック菓子、ソーセージなど)を摂りすぎない
- なるべく熱を加えない調理法で(焼き魚よりもお刺身、野菜炒めよりサラダ、など)
- 昼食で1日の食事のバランスをとる(夕食がカロリー高めなら昼食は低めにするなど)
- 食後1時間の運動習慣(15分間ウォーク+ハーフスクワット20回、または階段昇降1~2分が目安)
- カモミールティーには糖化防止にいい成分が入っているので、食後のお茶には最適。
*参考文献:『「糖化」を防げば、あなたは一生老化しない』(久保明 著:永岡書店)
お肌のたるみが進行すると、老けた印象になるのは否めません。逆に、あまりたるみが目立たないお顔は、実年齢より若く見えるのです。今回お伝えした、たるみの改善・予防法を実践して、若々しいハリのあるお肌をキープしてくださいね。